『電車内で』
あおい満月

引っ張られるものへ
どうしようもない引力に
左手首が痺れていく

毎朝、
向かうべき場所へ向かうためには
耐えなければならない引力があるのだ

引力の上に座ってしまえば
苦しみはわからない
引力の上に立ってしまうと
翻弄されるこの躰
冷たい風まで吹いてきて
虚空な脳髄を駆け回る

引力との闘いは
時計と同じように繰り返される
人々は隙を狙って
空いた席に座り込む
引力の上に座ってしまえば
あたたかな力が抜けていく



二〇十一年十二月一日(木)


自由詩 『電車内で』 Copyright あおい満月 2011-12-27 21:26:09
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