ゆきのそら
ささやま ひろ

僕は雪に魅せられる
とても切ないから

どんなに大切に受け止めても
一瞬にして消えてしまう
大事にしようと思う間もなく
手の中で静かに消える

でも一瞬だけ
ほんの一瞬だけ
その美しさに僕は心奪われる
刹那に消えてしまうけど

そこにある確かなものなのに
決してとどまらず
そこにあって輝いてるのに
決して手が届かない

信じること
信じてもらうこと
愛とか恋とか
友情とか愛情とか

雪のようなものだと思ってた
そこに見えるのに
決して手に入らないもの
手を差し出したら
残像のようにすり抜けてゆく

僕は雪に魅せられる
それはとても切ないから

一人ぼっちの僕の部屋を
君がノックした
誰も入ることのなかった
一人ぼっちのこの部屋に

たくさんの人が
これまでたくさんの人たちが
僕の部屋をノックしたけれど
みな扉越しにごあいさつ

君のノックの音だけは
他の誰とも違ってて
何の迷いもなく
僕は扉を開けた

舞い落ちる雪は変わらず美しく
瞬きをする間に消えていったけど
愛が雪のようではないってことを
僕は初めて知った

僕のとなりには君がいて
確かなぬくもりは手のひらに

二人で空を見上げる

僕たちは雪に魅せられる





自由詩 ゆきのそら Copyright ささやま ひろ 2011-12-25 20:29:09
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