風にわたって
たもつ
こびとは手紙の最後に
「こびとより」とそえたあと
「こ」と「び」のあいだに
小さく「い」の字を書きくわえた
しばらくながめているうちに
恥ずかしくなったのだろうか
てのひらで手紙を丸めて
空にほうり投げる
春、わたしは耳をすます
タンポポの綿毛といっしょに
そんなものが風にわたってくる
自由詩
風にわたって
Copyright
たもつ
2003-10-20 13:03:36