初雪
はるな


大阪市のあたらしい市長がニコニコ笑っているテレビ、独裁者が死んだ、知らない言葉、知らない人々。ずっともう昔に、キリストは死んだらしい、日本の政治は永田町でなにやら絡まっています、名刺交換、ミサイル発射、記者会見、菊の花。紙パックのオレンジジュース、スマートフォン、爆笑おせちとか大震災。津波のあとはコンクリートでかためられていった、腐った魚は今頃凍りついて、石のない墓。独裁者が死んだ、初雪が降った、年末になるとおこなわれるクラシック・コンサート。えりのついたワンピースを着て、ロー・ヒールのパンプス履いて、髪をまとめて。裕福な家庭で育った、質の良い食事、質の良い服、質の良い教育。質の良い―それでいて、多すぎない。ずい分前に疲れてしまった、もう今はいい、今はもういい。キリストは死んだ、神さまはいる、わたしの死はつねにここにあり、あなたはここにいない。今はもういい。ステージの以降を感じた、でも、気のせいだったかもしれない。
ここ数日とてもかなしい、でも、気のせいだったかもしれない。



散文(批評随筆小説等) 初雪 Copyright はるな 2011-12-20 18:30:08
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