subaru★

この爪を折っても
しぶとく生えてくる

この爪を折っても
歳を取れば 記憶は遥か彼方

この爪に火を点せば
僅かながら この灯りで
道に迷うこともないと口にすれば
痩せ我慢だと隣人は言う

寂しくなったら
この爪でピリオドを引っ掻き
エンドレスな悲哀にサヨナラを告げる

小粒の点の灯りが
都会のイルミネーションに紛れて
どれもこれも同じ遺伝子のように
みな平等に映ってくれる

寂しくなったら
この爪でくうに傷をつける
これで無にならなくて済む

たかが爪を見つめて
されど爪を見つめて
長い間 見つめて

切っても切れない
長く伸び行く この爪と
私は一生 共にする


自由詩Copyright subaru★ 2011-12-18 23:59:54
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十二月のうた