厄落としの女
はだいろ

土日に休むというのと、
平日に、
有給休暇を取って休むというのは、
やっぱり、
ぜんぜん違って、
平日の休みは、ほんとうに、
楽しい。
ひとが働いているときに、
自由に遊べるということが、
どんなにこころをひろびろとするか。

むかしは、
(そのころはそんなことば、なかったけれど)
フリーターというか、
ニートというか、
何もせず、毎日、
日曜日みたいなものだったから、
こんな嬉しさもなかった。
お気に入りの、
玉子サンドのモーニングを食べに、
お気に入りの、喫茶店へ行く。
あの店の若いふたりが、
ぼくと、彼女だったら、
どうゆうふうだろう、
なんて想像する。


今日、休みを取ったのは、
区役所に、
印鑑証明と、住民票を、
住宅ローンの本申請のために、
取りに行ったのだけれど、
同時に、
婚姻届けの手続きの方法について、
教えてもらった。
そこでも、
おばさんの職員に、
まことにおめでとうございます、
と言われた。
結婚すると、親の籍から抜けて、
自分が、世帯主になるのだそうだ。
そして、本籍というのは、
驚いたことに、
どこでも、好きな住所を、
選べるらしい。
世の中、ひとつひとつ、踏みしめてみれば、
そこから、毛細血管のように、
全身に血が巡るようなものである。


なんだか、話が長くなりそうだから、
省略すると、
朝と、
夕方、
ソープをはしごした。
どうして、そうなるのかとゆうと、
説明すると、話が長くなりそうだから、
端的に言うと、
朝、3万円で90分、
夕方、6万5千円で、120分。
いわゆる、
吉原の、高級店というものに、
どうしても、
厄落としだと思って、
行ってみたかった。


朝の(大衆店の)女は、
石原さとみに似ていて、
夕方の女は、
山田優に似ていた。
もちろん、
よく言えば似ているというだけで、
決して本人ではなく、
しかも、
朝の女は性格が悪く、
夕方の女は、
実は20歳ではなく25歳とのことだった。
だけど、
夕方の女は、
やっているときは、
だんだん可愛くも思えてきた。
もう、
どうでもよくなるまで、
遊んでしまおうと、
思ったわけであり、
実に、
もう、
すっきりした気分である。
ほんとうに、
もう、
どうでもよくなった。
金もすっかりなくなった。


ぼくは、
とうとう、
来年の、1月には、
独身ではなくなる。
ひとりではなくなるのだ。
日暮里から、彼女に電話した。
午前中、
着信があったのだ。
郵便物の、転送ってどうするの、
っていう、
どうでもよい話だった。
ぼくは、
「それはね・・・」
歩きながら、とてもわかりやすく、
教えてあげた。








自由詩 厄落としの女 Copyright はだいろ 2011-12-16 21:31:33
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