七味
m.qyi

 「七味唐辛子を壜に冬日和」という俳句読んだ。俳句のようなものは短いし、
俳画というものもあるから、看たというのがいいかもしれないが。林ノ下豆腐店という人の書いたもので、妙に作品と名前が適っている。どうしてだかわからないが。
 子供の時、よく豆腐を買いに行った。その家の娘が同級生だった。そして
その娘の頬っぺたがとても赤かったのを今思い出した。ああいう赤はリンゴの赤色に似ている。
 七味唐辛子は、唐辛子を主原料とし、七種類の香辛料を混ぜて作られることからその名があるそうだ。唐辛子を含めて8種類なのだろうか、それとも全部で7種類なのだろうかなどと思った。一味というのもあるから、こちらは、まさか2種類ではないだろう。すると、七味も7種類なのだろうとくだらない事を考える。
 今日は晴れていたが、日がさっと暮れた。冬の日はナイフを切るようにさっと日が翳る。あっという間に。もう、真っ暗だ。窓からは、点々と灯る高層アパートの灯りが見える。日がな窓辺に座っているのはそれなりの訳があるのかどうかは知らないのだが、つまりは、逃避をしている。僕はそんなにも臆病で無力だ。人生は恐い、鬼ばかり。百鬼が右往左往。ああ、恐い恐い恐いと日がな日向の窓辺で呆けていた。そんなことができるのも、お日様があったからだ。
 やはり、お日様はありがたい。僕の住むこの場所は凍るように寒いのだ。そして、もうこの時間、そのお日様がいないのだ。
 唐辛子というと、いわゆるchiliでペッパーかどうかは知らないが随分と細長く、真っ赤だ。でも粉にするとこれがソフトなオレンジで、ホットな感じでさらさらだ。そこにサンショのフレーバーが薄緑とくると優しい感じもする。肉料理などをしていて、暫く手で触れ続けているとちょっとぽかぽかするし、目でも擦れば悲鳴が出るのだ。涙ボロボロ。
 こんな悲鳴とは全く関係がないが、チリというのは、何かあんまり頑張らないお日様のようなオレンジのホットな砂だ。
 何度も言うが、そのお日様が翳ってしまった。
 その、ソフトな赤が小さなガラス瓶にあって日が当たっているというのは、恐さも忘れられる。もう、外は、真っ暗だ。鬼ばかり。
 ガラス、は、例えば、手作りガラスは、意外に表面は所謂イーブンじゃないもので、つるつるのようでぐにゃりとしており、中には泡などもあり、お日様が休憩などしているところだが、その中に赤い砂丘があり、さらさらなのだ。
 そんな風に眺めていたのだが...ところが土とあるから、おやっと、イメージが反転して、備前か唐津かなんかなのだ。そんなもんじゃないかもしれないが、おちょぼ口のひょうたんの有田なのだ。それほど上物じゃないにしろ、ちょっと、振ってみる。妙なもんで、蕎麦といえば山葵だが、これがちょっと、糸車の模様など入っていたりする鍋島とくれば、%


散文(批評随筆小説等) 七味 Copyright m.qyi 2011-12-14 23:32:16
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