プラチナ・イン・フォール
たちばなまこと

夜は
雫を運ぶ
こぼれ落ちる
白い小粒
背中から墜ちそうになった
平行ではいられない
夜は

漆黒の中に有って
そそる姿
寄り道ごっこがもうすぐ終わる

無数の冷たい針が
多方向から刺さるけど
心地よい鋭さで
やはりそそる
温度

想うことが媚薬だった頃は

ねぇえ。

午前一時
息をのんで見上げた空は
スローモーション
ナイアガラのように
身体を覆った
呼べば無数
雹のように
身体を打った

視界に
現実への扉
寄り道ごっこが終わる


深夜、冷たい秋がおちてくる。外套を貫いて。
10代の頃は、スローに身体を包んだ夜なのに。


自由詩 プラチナ・イン・フォール Copyright たちばなまこと 2004-11-26 00:40:26
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