【 クリスマスローズ 】
泡沫恋歌

星屑を集めたように
煌めく光で街は飾られた
行き交う人も忙しげな
そんな季節がまたやってきた

駅前の広場には
大きなクリスマスツリー
そこは恋人たちの
密かな待ち合わせ場所

クリスマスケーキを手に
家路を急いでいた
わたしの目に ツリーの元 
白く浮かび上がってきた

まさか逢えるなんて……

遠い日の恋人
忘れられない人だった
この場所で待ち合わせて
ふたりは聖夜を過ごした

やあ!
とあなたが声をかけた
立ち竦む
わたしの胸が小刻みに震える

言葉もなく
見つめ合ったまま 
時間が逆流する刹那
現実に立ち戻ろうとする私に

「まだ帰さないよ、腕時計見ないで」

あなたの言葉が
わたしを誘惑している
耳元で囁いた声に
心がとろりと溶けていく

さようなら……
クリスマスローズのように
うつむいた頬に
ひと粒 涙が零れていく

もう夢でしか逢えない
恋人の幻影に
手を振りながら
わたしは足早に歩いていく

家族の待つ家で
小さな幸せに微笑んで
クリスマスケーキ切り分け
あなたの分まで食べてしまおう

  ―― それは天使からの贈り物
    クリスマスの夜の奇跡だった ――


 【 White christmas 】

christmas illumination 飾られた街を
僕らは コートの襟を立てて歩いている
寒そうに肩をすぼめる 君の手は
僕のコートの ポケットの中で握られてる

優しさだけでは 君のことを幸せに
できないこと わかっているんだよ
僕に足りないのは 優しさじゃなくて
ホントの強さなんだと わかっているから

ほら 雪がちらついてきたよ
今夜はきっと White christmas
そう言って無邪気に笑った 君の頬に
真っ白な雪が ふわりと舞い落ちた

僕らのchristmas 来年も そして
その先の未来も 繋がってることを願って
ポケットの中で 君の手を強く握りしめる
まだ 君に言ってなかったね……

       Merry christmas
    今夜はきっと White christmas


 【 聖夜 】

クリスマスで賑わう 夕暮れの街 
待ち合わせに 来ないあなたを
時計を見つめて 半ベソで待っていた
かじかんだ手に 白い吐息をかける

ゴメン! 仕事が片付かなくて……
息を切らして駈けてきた あなた
もう 帰ろうかと思ってたのに……
嬉しいくせにわざと拗ねた わたし

ダメ! 今夜のきみは俺のもの!
そう言って 肩を抱き寄せた恋人
メインディッシュは あ・た・し?
頬寄せ合って あの日ふたりで笑ったね

時が流れて 街も人も心も変わっていく
確かなモノなんて 何ひとつないんだ
聖夜を迎えるために 料理を作っていた
別れた恋人の 面影をかき混ぜながら

いつかの 遠いクリスマス……
封印された想い出 ふたりの聖夜
永遠に色褪せず 心に染み込んでいた
わたしの傍には あなたの笑顔があった


           Merry christmas♪
         幸せなクリスマスが貴方に
           訪れますように!

          o(*'ー')o<※☆:゚*★:゚*





自由詩 【 クリスマスローズ 】 Copyright 泡沫恋歌 2011-12-14 07:00:48
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