降り来る言葉 LVI
木立 悟





ねじれた柱が
気層を持ち上げる
白と黒と昼
互いを
知らぬ光


穏やかな日には
忘れられた言葉が近づく
思い出されないまま
たたずみ 微笑んでいる


左右の羽
星は割れ つながれる
大きな指の
光が立つ


腹の森を縫い合わせ
風の地団太
海を踏み抜く熱を見据える


傷は水
足元の夜
飛ぶための踊り場
風の脇 風の脇


上の夜へ
上の夜へ
つまむ指の
夏至色の肌へ


膝を折り 膝を立て
その差を走り 走るいかづち
布から紋への
不服なまなざし


泡と花と泡と花
空の指と土の腔
湿り気と羽
たなびきと後悔
雨の背に雨の背に遠去かる


倒木の先
海ぬすむ海
海をかかげ 落とす海
陸の無い地図
照らす指


午後と立像
燃え降る木
渇いた路をなぞる曇
見えない犬の
群れに立つ子


夜の終わりからはじまりまで
月の産毛に触れている
冬より古い
息を重ねる


髪と同じかたちと数の
髪のうしろにたなびく耳が
空の屑にまみれながら
球とは何かを呼吸している


星を生む木が水に倒れ
目を閉じ 冬を見つめている
あなたのゆらぎとくれないが
わたしのむらさきでありますように























自由詩 降り来る言葉 LVI Copyright 木立 悟 2011-12-14 00:02:39
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