テーブルのうえのフランチェスカ
なを
裏庭のトマトをもぐようにわたしはわたしになまえを
いくつもつける
(たとえばフランチェスカ、など)
そこにいるわたしテーブルのうえのわたし
わたしがすでにいないところにいるわたし
テーブルのうえの皿のなかの
、と。のように存在する
鳥のうたのように
ながくながく続くうたのようなそのなまえ
いいお天気のまひるの道を
歩きながらひとくち食べてだめにしたトマトを
なげすてて歩く きちがいがうたうようなうたを
うたいながら 100も1000も貰ったなまえ
を パンくずのように世界中の鳥に食べさせてしまったよ
いつかはわたしのなまえだったなまえの鳥と鳥と鳥たちが
空を飛んだり波をよこぎったり裏庭のトマトをぬすんだり
明け方の道路で死んだりベランダで巣作りをしている
みっつくらいの女の子のいる家の
きのうのおひるの甘いチキンカレーもわたしなのよ