幻想列車
雅寛

音を立てて列車が揺れる。
衰弱しきった僕は不眠症。
僕の隣には幸せそうに眠る君が。
幻想列車は今日も揺れています。

行き先の当ては無く、
鬱屈した乗客達が、
欠伸をかいて眠っている。
ガタゴトガタゴト音を立てて。

雪の中を列車が進む。
君と僕が結ばれた赤い糸。
そっと切れない様に包み込んで。
幻想列車は気紛れです……。

君を乗せて走る列車が、
もう最後なんだねと泣いている。
夢見た僕の恋は叶わず、
妄想だけが膨らんで消えた……。

終点目指して列車が進む。
僕は君の手を握り締めて、
終わる事のない夢を見ている。
幻想列車は憂鬱です……。

真っ白の中を列車が進む。
僕は君を抱き締めて、
叶わない夢を夢見ている。
幻想列車は空虚です……。

―君が泣いていた……。―
―僕は最後まで笑っていた……。―
―最後の言葉は言えなかった……。―
―雪が二人包んでた……。―

幸せそうに列車が揺れる。
君の指には指輪が一つ。
キラキラ光るちっぽけなダイヤ。
幻想列車は今日も揺れています……。


自由詩 幻想列車 Copyright 雅寛 2011-12-12 22:08:05
notebook Home 戻る  過去 未来