流星群
雅寛

おはよう。アインシュタイン。
貴方が恐れていた通りの終わりが今、やってくるよ。
良い朝さ。きっと良い日になるよ。
僕等は神の体内に巣食ったウイルスだったのかも知れない。

自然を使う事を覚えて進化してきた。
だけど、何時の日か生きる事に夢中に成り過ぎたんだ。
この星に生きる事に何の意味が有ったんだろう?
何時もと変わらぬ朝に、誰が終わりを知り得ただろうか?

降り注ぐ、真昼の空に流星群。
夢と見間違うまでに甘美な終わりを。
降り注ぐ、ミサイルの空を拭って。
僕等、この星に何を残せた?

責めないで、アインシュタイン。
僕等少し、自分勝手で弱過ぎただけなんだ。
今日という日が来るのを何時も先延ばししていただけさ。
僕等は自殺さえも決められていたのかも知れない。

独裁者の思い描く夢も、
蟻の巣を踏み潰す子供も、
そうは変わらないかも知れないね。
だけど、遙かな愛を叫ぶ人も居た。

降り注ぐ、数え切れない位の流星群。
神様が用意してくれた最高な終わりさ。
降り注ぐ、慈悲という名の神の裁き。
僕等、生きる事に何を見いだせた?

ごめんね。アインシュタイン。
貴方の所為じゃないよ。
何時かこうなる事は決まっていたんだ。
僕等争う事しか出来なかったんだ。
自然と共存、簡単に言うけど、
そんなの最初から無理だったんだ。
何処で道を間違えたのだろう。
皆、より良く生きようとしただけなのに。
欲望なのかな?

降り注ぐ、世界の終わりの流星群。
罪深き僕等にくれた責めてもの神の慰み。
降り注ぐ、黒い雨に打たれ絶望しよう。
僕等、何の為に生まれてきた?

降り注ぐ、真昼の空に流星群。
苦しむ暇も無い位安らかな終わりさ。
降り注ぐ、光の欠片にさようなら。
僕等、傷付ける事しか出来なかったね。

世界が終わろうとも、
僕等の事は誰もが、嫌、空気が、宇宙が忘れないさ。
そして僕等の塵はまた新しく命として生まれてくる。
そしてきっと、また道を間違えるだろう。
それが永遠。
何が正しくて何が間違っていたかは分からないけど、
何をこの星の為にしてやれたのかも分からないけど、
数を増やすだけでない愛が、存在していただけで僕は満足さ……。
そう、空気を吸い、笑い、泣き、生きていただけで、僕等は神に誇れるんだ……。

さよなら。アインシュタイン。
僕等何時の日も不器用だったね。―でも、
何時の日か今日という日を思い出して、
皆で笑い合える様な良い一日だったよ。


自由詩 流星群 Copyright 雅寛 2011-12-06 07:11:51
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