シホ.N


花は咲かず
風は吹かず
空は暗やみ
ぼくはひとり

いやひとりではなく
ぼくの夢を行き来し
ぼくを奔弄するシャドウたちの
愛すべき
憎たらしい口づけ

ぼくの前に道はなく
ぼくのうしろに逃げてきた道
それもたちまち
灰色の風景の中へ溶けて消えていく

ぼくの前に厳しい現実
もあらわれず
目を閉じるごとにやってくる
支離滅裂なリアリティ

しかしぼくはたしかに目覚めているのだ
光だって見えるのだ
そうしてぼくは立ち上がり
夕暮れの窓をがらりと開ける

そして今夜もやってくる
シャドウたちの舞い
忌まいましくて
惚れぼれする
時間は針がとぶようだ
なまみのぼくやあなたは
いったいどこにいるのやら


自由詩Copyright シホ.N 2011-12-06 02:32:40
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