チョウチョ
凪 ちひろ

誰のために歌うの
季節はずれのうぐいす
カナリヤなんて知らない 見たこともない
チョウチョが飛んで行く お盆の朝
もうすぐ 彼岸花咲くね
川辺がきれい

狂い咲きのバラが 迎えてくれた日曜の午後
おかげで退屈しなかったよ
ありがとう 待っていてくれて

本当に思うものは 本当じゃないかもしれなくて
心の奥みつめれば見つめるほど
何も見えなくなる
私は私でなくて
きみはきみでなくて
どこから来たの?
どこへ行くの?
蓋をして 生きる毎日

いつか会えたら 抱きしめたい
いつか会えたら ただ見つめたい
謝りたいのは 自分優先な気がするから
ただ愛してるって言いたい

海岸線沿いに 走る列車
どこまでも どこまでも 駆けていくのか
いいえあれは 大陸の端で止まって
折り返して来るだけ

会いたいよ 会いたいよ
絶望的な 悠久の時間
あせらなくても いいけど
舟はおなじかな
きみは待っていてくれるかな

きれいなこと 今はききたくなくて
空を見上げても 科学が邪魔をする
祈ればいいの? 願えばいいの?
耳をふさぐ 目を閉じる
だけど何も終わってくれないね……


自由詩 チョウチョ Copyright 凪 ちひろ 2011-12-01 21:59:35
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