さみしいさみしいさみしい
うめぜき


さみしいさみしいが
毛穴という毛穴からにじんで
コンクリートの路地や
木造の二階建てや
塀の上の猫まで
とにかくもろもろのものをさみしいさみしいの中に
沈めていって
やがて太陽がさみしいさみしいに沈みこんで
真っ暗になると
わたしはぼろぼろと涙を流すのだった

すると涙が落ちた地面では
ふわりとさみしいさみしいがほどけて
その雑草やらコンクリートやらが少しむき出しになったが
またゆっくりと地面を覆う
さみしいさみしいと言いながら

わたしはいっぱい泣こうとする
泣こうとして
さみしいさみしいさみしいとこぼす
さみしいさみしいさみしいと伝えたいとおもう
さみしいさみしいさみしいとひたすらに
祈るのだった

するとあたり一面に
さみしいさみしいさみしいという声が響いて
わたしはともすると聞き惚れている
ふと気がつくと
塀の上の猫が欠伸をしており
ああ、さみしいさみしいさみしいと
呪文のように口ずさむ

ぼんやりと辺りを見渡すと
まるでわたしに興味の無さそうな人が何人か歩いていて
ちょっとした絵画のように遠く感じる
さみしいさみしいが
ちょっとだけ胸を暗くしたので
わたしは

わたしは
夕陽に
あなたのことを思い浮かべては
消えていくのを
ただただ
繰り返して
さみしい
さみしい
さみしい

まるで
秋の
さざなみのようだ











自由詩 さみしいさみしいさみしい Copyright うめぜき 2011-12-01 00:47:14
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