惑星深草
灰泥軽茶

遠くからでもわかる黒目が印象的な
小さな女の子たちがそれぞれ発泡スチロールの箱に乗せられ
疎水路をベルトコンベアーのように流されてきます
とても楽しそうで何やらカラフルなおもちゃを振り回しています

チョコクリームが詰まっているのではないかと思うほど
丸々と太った柴犬がよちよちと飼い主に引き連れられ
そちらに向かって疎水路脇の道を散歩しています

等間隔に並ぶ石造りの橋には
それぞれ象形文字のような紋章が彫られており
蔦でびっしりと絡められた橋もあれば
つるつるに磨かれた橋もあり
それが一体全体いつの時代のものか見当がつきません

疎水路脇には延々と枝垂れ桜が並び
一年中開花し心地良い甘い風に吹かれ
花びらは落ちていき絶え間なく埋めつくし
終点に行くにしたがって
小さな女の子たちは繭のように丸く包まれていき
生ある物が滅びゆく一瞬の芳香を放ち
空にふわふわシャボン玉のように飛んでいきます



自由詩 惑星深草 Copyright 灰泥軽茶 2011-11-30 23:45:56
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