最果て
マーブル
彼は大ぐち開け森の燃える音を食べた
銀のスプーンで掬って葉が浸み込んだ
悲しみの調が喉で喜んでいるようだった
開放の叫びが聞こえてくる
私は鳥を好きな場所へ逃げるようにと自由を放った
ぐるぐる旋回しているのを首を傾げぼんやり眺めていた
やがて鳥たちはそれぞれの旅に
羽根を勇ましくふるって夕陽に染まる海へ
高く高く昇ってゆく
砂漠のようだ
さらさらと滑る砂が
こぼれる指の間には愛と憎しみと最果ての旅路が続いている
私たちは耳をよおく欹て
生々しい金属の剥がれる音と
葉の触れ合うざわめきや
水のせせらぎのように
息の根をつんと伸ばして
影を大きくして立っているだろう?
夢は箱舟の花束
月夜の湖にひっそりと浮かんでいる
そこに横たわる女の姿
深い眠りに落ちているところ
けっして起こしてはならない
彼女は幾千もの流星を
胸の奥にやきつけているのだから
その名を青い庭で愛しておくれ
無数の花が咲いて
よく澄んだ風が頬骨を掠めるだろう
よおくごらんよ
物語は開いた途端から最果ての始まりだった