男子トイレマークへ、あ、あった
ヨルノテガム






 何
 ここのトイレ広いナ
 人も多いぞ
 中の方が広いじゃないか
 手ごろな個室へ入りづらいんだけど、
 あ どうも 失礼、いえいえ お先 どうぞ、
 皆んな そんな目で見るなよ
 よそ者じゃないゼ

 ここはリラックススペースだらけじゃないか
 何のウォーミングアップなんだよw
 女も居るし、出てきたよ ほら、
 こんな所で手打ち野球するんじゃねえよ、
 さっきの女にイキナリ指先つねられたよ
 追いかけてくるなっ!バガが!
 目と顔がイカレちまってんじゃねえか、わかった
 わかったわかった、一・二塁間は守るから
 本気で打ってくるなよ
 ビニバットでこっちに流し打つなよ、
 ゴムボールうならせるナヨ、尿意も便意も
 バッチ来いっつって もう知らんわ

 トイレは何処だ
 池まであるよ 庭園かっ
 読書してる人、物思いにふける人、
 会話を止めてこちらを振り返る人、人、人、人。
 イヤイヤもっと ひと気のない無関心な空間で
 用を足したいんだ 脱糞派じゃない 俺は宇宙人じゃない
 あの、人一人、身をずらして入る扉の陰へ隠れたいんだ
 迷彩扉でもいい
 どこかの景色よ、扉をずらしてくれ、ピープー
 耳をそばだててくる皆が聞こえないくらいの白い
 穴のあいた卵型の止まり木に。うん、そこで俺の存在を
 ふわっと消してくれ

 まずは
 そこからじゃないか
 そういう約束じゃないか
 人生は旅人という深遠なテーマを急に始めるんだもの
 だもの 始めるんだもの
 これがホントのトイレの神様の仕業ってか、


――――後戻りは考えもしなかった
    前には巨大ビルの横を通り過ぎる階段が
    上ってゆくばかり。駆け足で、
















 


自由詩 男子トイレマークへ、あ、あった Copyright ヨルノテガム 2011-11-23 04:50:22
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