準備はいらない
ホロウ・シカエルボク



もっと暗くなってから
ほんとうの話をしようよ
もっと明るくなってから
ほんとうの眠りにつこうよ


月はメルヘンを抱え込み過ぎて白くなる
太陽は輝きを求められ過ぎて冷たい冬の雨雲に隠れる
僕らのために生きてくれる誰かを
僕らはいつも探し続けている


こんな時間にはいちばん
何を話せばいいのか判らない
こんな時間にはいちばん
どんな夢を見ればいいのか見当もつかない


明りの無い小さな公園に出かけて
滑り台で星を探そう
子供のころに一番さようならを言った場所
そのかけらが今でも落ちているかもしれない


子守唄なんかいらなかった
寝物語なんかいらなかった
ほんとうは
その方がずっと眠れた


強い気持ちを意識し過ぎて
僕らは滑り台の上で
寄り添って星を探す
一対の影になった




おやすみ



自由詩 準備はいらない Copyright ホロウ・シカエルボク 2011-11-21 22:37:30
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