閉鎖病棟(連作)
永乃ゆち
閉められたドアノブ少し回しては開かないことに安堵している
「心まで閉じないように」ドクターは笑って出てゆく閉鎖病棟
消灯と同時に鍵がかけられる冷蔵庫には凍った心
見回りのフラッシュライトの光だけ生きてるようで寝たふりをする
様々な共通点を持ちながらみんな孤独だみんな仲間だ
真夜中に目覚めてもただ天井を睨み付ければ泣かないで済む
日が昇る四角い空を見上げれば無限が怖い宇宙飛行士
脳内に朱い花咲く私でも呼吸するのを許されている
目の前で火花が散ってそれ以上美しいものはないと思った
人はただ許されながら生きている等しく夜は私に優しい