タカラモノ
詩月

それは宝物でした
とてもとても大切な
だから人に見られたくなくて
自分の部屋にしまいました

それでも少女は不安になりました
だから今度は、箱の中に入れました

少女はその宝物が大好きでした
だから、絶対に無くならないように
箱に鍵をかけました

そうして最後にその箱を
タンスの奥底へしまいこみました
自分以外には分からないように

時は流れ
少女は宝物の存在を忘れてしまいました
もう箱の中身も覚えてはいません
気がつけばその箱はどこかへ行ってしまいました
それでも少女は気にしません
だって忘れてしまったのですから
大事にしすぎるあまり
自分からもかくしてしまったのですから


自由詩 タカラモノ Copyright 詩月 2011-11-02 19:00:54
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