うらみはらさで
Seia


ある日私は死にまして
ふと気付いたら
地面で寝てまして

そうかここは天国かと
回りを見渡すと
そこにはただの日常があって
平日お昼の町並みがあって

寝ていた私を誰も見ていないので
これが世に言う幽霊なのかと
少し透けた手をじっとみました


せっかく幽霊になったんだから
あれやこれやしてりましょか
呪い呪ってやりましょか

せっかく幽霊になったんだけど
落ち着いてよく考えたら
特に呪いたい人もいなくて


全く面識の無い人達の
携帯写真に写り込んでみたりして
顔だなんだ騒がれても
あんまり達成感もないしつまらなくて

喫茶店でお茶でもと思ったけど
マスターに声とどかないわ
そもそも飲めるのかわからないわで


夕方の町を誰にも気付かれずに
すたすた歩いてみたけれど
それはもともと死ぬ前と
さほど変わらない気がして

死ぬ前、死ぬ前といえば
私の一切、一生を
忘れている事に気付きました
これじゃあ
うらみどころの話じゃない


私はどうやって死んだんだろう
私は何故死んだとわかってるんだろう
私は一体だれだったんだろう
私は何故ここに透けながらいるんだろう


うらみはらさでおくべきか

その言葉を言える人もなくて

うらみはらさでおくべきか

そんな言葉ですら言いたくて


ある日私は死にまして
ふと気付いたら
地面で寝てまして

きっとこれが天国かと
回りを見渡すと
そこにはただの日常があって
平日お昼の町並みがあって

そこから

そこからしか私を知らない。
少し透けた、私の手しか私を知らない。


自由詩 うらみはらさで Copyright Seia 2011-10-25 21:46:04
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