ナンセンス
榊 慧

 テディベアのキットセットを打ち破る。
「こんなもの作ってどうするんだどうしたいんだ。」
「殺人したい。」
「なんになるんだ。」
 俺は母親らしきものの胎内で灯ったときから嘘だらけの体だった。もうなにもいらない、そればかり、ずるいものばかりしかなかったそのなかで育った。
「空中分解されて人殺しになりたいんだよね。」
「知るか」
「死にたいならさ、人殺しにならないと」
くだらないね。やめたい。胸にナイフあてる遊びやら、くだらないね。やめたくはない。腕を切ったってただヒマつぶしなだけでやめたくはないね。
「能の霊(りょう)の蛇(じゃ)の能面みてさ、小面のポストカード買ってさ、」
「唇から血がだらだらだらだらしていてハチミツでも舐めようかなってときに」
あきてきて、別に覚悟も無いのであった。志すものが欲しいのであった。が、目下のところ写実絵画に夢見てる。肥後守でステッドラーを削っては捨てる。才能はないことであるので浪費に近い。「知ってるから黙れ」。

 何故?
 理由とか無いから困ってるの。

 誰にもすがれないのはみんないっしょ。
 ガーゼ消毒液サージカルテープ、サージカルテープ、だいぶお世話になって無い、放置とも言う、言いたい事言い出せば何も見つからない!
「みじめ」
追いこんで、最低なあいつらいつか全員氷責めして。五寸釘をつちふまずからズズッズズッ、ズドンと打ち込んで。そのとき俺はひとまとまりにした手帳たちをくべて燃やすのさ
「前にやった高等学校学力程度認定試験いわゆる昔の大検、」参考書のロジック解いて愛せないけど、すんなり楽して受かったそんなもんさ、猫背で書いてシャープペンシルの芯は一本だけ入れて、そいでもってそれだけ持って燃やせないー

 俺は何を考えてるの?馬鹿馬鹿しいなあ。綾織りした裂(きれ)に施されてる縫(ぬい)の技法の能装束つけさせて挨拶回り、君がさせてくれたら好きだよ。
「何かを背負っている。無いようで多分あってそれで多分無いんだろうね」
「正直者だからそれだけは、夢がない。」「仕方ない。」
妄想だったらいいね。愛とかなんとかそんなもの。妄想だったらいいね。
「独裁者はいつでもどこにもいるよ。どこかにも。」
余計なことってなーんでーすかー。

 顔上げられないけれど対人恐怖症は克服してます。誰もいないし、誰もみてないきいてないけどカクテル飲みたい未成年、みんなしんじゃえって言ってやろうか。
 そうなったら君、なんか言ってくれないか、笑顔で言ったのに俺はなんでも謝りながらやるのに「必死に頭回転させて感情とかが出ないようにしてるでしょ」「Thunk you.」
街灯りは暗いのか明るいのかわからない。愛すものとかないでしょ?冷たさを大事にしてる日々、
「核シェルターにさ、飛び込んでみたいと思う。」
真緑のライトが光ってる、
階段をのぼっていく足音、窓ガラスに反射してる光落ちる。
「飛び込んでみたらまた昔みたいに」
無関係に耳鳴りが消えない。幻聴・幻覚をまた今と昔のみたいに、
「昔の幻覚が見たい。」
中途半端に制御しているこのキャパシティーなんていらない。

 脳細胞がやられていく。「トイレに流しといてくれていいよ。」俺はうんこ。じわじわと石になりたい。
「起伏についていけないから死にたい」ちりぬるを。ごめんなさいって叫んでる。不協和音じゃない、ごめんなさい。憎いだけ。消したくて憎しみだけで失って消したくて「飛び出せ!」
許しましょう。できません。何もできません。ただそれだけ。最悪だ。
 笑いだす。
「空中分解して笑いだす、いつか全員氷責めにしてやる幻覚で」
「幻覚だと思ってるもので柿の皮を剥いて、幻覚の柿に幻覚のフォークを幻覚で刺す」
値札つけたら俺はいくらだお前らは各々百万円だろ俺はいくらだこれも幻覚、幻聴と耳鳴りすらも飛び越えたいから扇で煽ってはばたいて水面は無通過。笑ってやる。
 窓から顔出して「つまらない。」あきてきた毎日。「くだらないね。」



散文(批評随筆小説等) ナンセンス Copyright 榊 慧 2011-10-25 15:47:17
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