穴空き天井倶楽部
Seia


天井にケータイを投げ付けたら
ぶつかるすんでのところで
天井に小さな穴があいちゃって
ケータイすいこまれちゃって

起こった事の理解が出来ず
とりあえず検索しようにも
ケータイすいこまれちゃってて
思い出したようにPCをつけて


キーワード検索してみたら
一つのサイトがヒットした

穴空き天井倶楽部 とだけ書かれた

チープな作りのサイトには
掲示板がひとつ 置かれていて


最新の書き込みには
うちの穴は丁度10cmでね
とか
朝気付いたら広がってましてね
とか

それはもう
今日の天気を話すように
私はもう
脳内ハテナマークばかりで



掲示板に経緯を書き込んだら
ほんの数分後にレスポンス
新入りさんは久し振りだって
なんだか歓迎されちゃって

起こった事の意味がわからず
とりあえず説明してみたら
同じような体験者ばかりで
同じように天井に穴空いてて


ひとしきり雑談してから
サイトをブックマークして

明日またこの掲示板で と書き込んで

PCを落とし 横になって
ゆっくりと睡魔を受け入れた


寝入る前の頭の中には
無くなったケータイはどうしよう
とか
いっそあれをくずかごにしてやろうか
とか

それはもう
明日の献立を考えるように
私はもう
頭上の事を思うばかりで


パチリと起きた私の目には
はっきりと黒い穴がうつっていて

どうやら夢では無かったと
ぼんやりと現実を突き付けられた


そして今日の天気を話すように
あのサイトをクリックすると
404 - File Not Found
と一文書かれた白いページ

あわてて検索しなおしても
いくらキーワードを変えても
天井の穴だけを残して
ネットの海から消えていた


一週間ほど悩んでから
私はサイトを立ち上げる

掲示板がひとつだけ置かれた
チープな作りのサイトに
穴空き天井倶楽部 とだけ書いて


自由詩 穴空き天井倶楽部 Copyright Seia 2011-10-24 15:27:43
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