願うひと
恋月 ぴの

ひとを愛せなくなったと
あなたは嘆き

はなから愛なんてなかったのにと
わたしは呟いた




大切なのは感動なのかな

与えて
与えられて

生まれたての感動はぷるんと目にも鮮やかなのに

目をあわそうとせず
小さな画面のなかに逃げ込んでしまう

ほんものってさ
まなざしのなかにあるのにね

それなのに嘆いてばかりで
吸い過ぎの灰皿はふたりの約束知らずと煙たいよ

やめたんじゃなかったの?

知らん顔で吸っている
親指と人差し指に挟んでいるもの

気晴らしにもならないのは判っているはずだから




ふれてみようよ
おたがいのこころに

こんなにもあったかだなんて
今更ながらに驚いてみたりしてさ

それが愛ってことなのかも知れないよ

見つめる瞳の輝きに気づいて
ふたり尊敬し合っていることに気づいて

つかの間だってかまいやしない

ふれあうことの優しさに
これが最後の最後だからと身を任す










自由詩 願うひと Copyright 恋月 ぴの 2011-10-24 14:22:15
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