願うひと
恋月 ぴの
ひとを愛せなくなったと
あなたは嘆き
はなから愛なんてなかったのにと
わたしは呟いた
※
大切なのは感動なのかな
与えて
与えられて
生まれたての感動はぷるんと目にも鮮やかなのに
目をあわそうとせず
小さな画面のなかに逃げ込んでしまう
ほんものってさ
まなざしのなかにあるのにね
それなのに嘆いてばかりで
吸い過ぎの灰皿はふたりの約束知らずと煙たいよ
やめたんじゃなかったの?
知らん顔で吸っている
親指と人差し指に挟んでいるもの
気晴らしにもならないのは判っているはずだから
※
ふれてみようよ
おたがいのこころに
こんなにもあったかだなんて
今更ながらに驚いてみたりしてさ
それが愛ってことなのかも知れないよ
見つめる瞳の輝きに気づいて
ふたり尊敬し合っていることに気づいて
つかの間だってかまいやしない
ふれあうことの優しさに
これが最後の最後だからと身を任す