帰路
faik

酔った足元がふらついて

自分がまだ歩いていたことに気が付いた


鳴り響く音楽は平和と叫ぶ――

――遠くでサイレンが人を運ぶ


クラクションで威嚇するトラック――

――淡い絶望が張りついた


立ち上がりたくない

帰りたくない

だが血液は従順に脳を流れる


当たり前に生きているあたしを

偽善者と罵るこのニヒルも

生きている

もう生まれてしまっているんだ

あたしという脳の宇宙で

世界も それと同じやも知らぬ


アスファルトの他人面に 頬ずりして 冷たく

近くを歩く男が甘く

大丈夫?と掛ける声は

偽善である 下心である

心が吐き気を生みました

続いて奇声を上げました

逃げ去る男の背中に向かい

エリエリレマサバクタニ?なんて

信じてもおらぬ神を呼んだ


立ち上がりまた進む自分に

身体は従順に血液を運ぶ

これだけなり直も 帰れるのだよ

生きられる まだ生きられるんだろう……


……あたしの宇宙は従順に希望を心に運ぶ


自由詩 帰路 Copyright faik 2011-10-17 23:41:45
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