かのこ

かなしいのかと、眉を顰め訊かれた
僕は、そう僕は、
かなしいのかも知れない、僕は
声をあげていたのだろうか、僕は
平凡な十六歳だよと、僕は

手首を切ってみれば分かる
僕の血管には、言葉ばかりが流れている
それから、眼から奇麗な嘔吐物を流して
いんらんという言葉の意味をひとに問うた頃から
もう随分な季が経った気がする
重たい脳みそがそろそろ躰を蝕み始めた
まるで海のような思春の最中さなか
常に、本能とたたかうんだ、僕は
僕は、そう僕は


自由詩Copyright かのこ 2004-11-22 04:22:39
notebook Home 戻る