孤独
凪 ちひろ
誰一人孤独を抱えていない者などないのだ
夏の日差しの下
笑い合う恋人にも
戦い抜き
栄光を手にした戦士にも
異なる形の 異なる色の 異なる大きさの
孤独が
平等に手渡される
裏切りにあった夜
最も醜い己を見た夜
拒絶された夜
後ろ指をさされた夜
その孤独は
己だけの
至高の宝石のように
大切に 大切に
胸の中に仕舞われる
人は、その宝石が
他人の物と異なっていると思っては喜び
また、他人の物と似ていると思っては
安堵する
人は、その宝石が
明るい朝の日差しに浄化されるのを
何度も 何度も見、
また、
冷たい夜の使者が
見たこともない新しい色のそれを持ってくるのを
繰り返し 繰り返し 受け取る
宝石は
手の平にずっしりと重く
あるときは
霧の中 まだ見ぬ恋人を探して放浪させ
あるときは
物哀しい美しい旋律に泥酔させ
あるときは
二度と這い上がれない絶望の淵に叩き込む
まるで
試練のように
使命のように
宿命のように 手渡されるそれを
拒む術がないなら
せめて自ら飲み込むことができるよう
人は
強靭な心身を創り上げるべく
ただ 励むのである