雲がぶんぶん飛んで行く
さすらいのまーつん

雲が ぶんぶん飛んで行く
クローゼットに投げる 枕みたいに

川が びゅんびゅん流れていて
魚たちは 光のようなスピードで 海に殺到する

せわしないな
かみさまが 居眠り運転をして
世界のアクセルを 踏み抜いたのだろうか
真昼の太陽は 訪れたと思ったら もういなくなってる
夕日が ぐんぐん昇ってくる
お前の出番には まだ早過ぎるのっていうのに

僕はまだ 目覚めてもいないっていうのに

綿雲に跨る 夢を見た
いい歳して お空でお馬さんごっこ
雲の形は プロペラ飛行機や ペルシャ絨毯になったりして
人っ子一人いない ジオラマみたいな世界の上を 遊びまわった
僕は トランペット吹いたり
逆立ちして めくれたシャツの下から
おへそに 歌わせたりして 
風邪も引かずに 笑ってた

目覚めたら 夜だった
完全に 置いてけぼり
世界に 置いてけぼり
立ち止まる 僕の周りで
景色は静かに 加速していく

かみさまが運転する世界は
土煙を残して地平線に消えていった
あの運転ぶりだと 爆音で
スピードメタルでも かけているのかもしれない
エントロピーの終点に向かって
しゃにむに突っ走っていった

三日月が 僕を見ている
しょうがない奴だと 父のように 笑ってる


自由詩 雲がぶんぶん飛んで行く Copyright さすらいのまーつん 2011-10-07 19:43:04
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