夏のさりぎわ
Seia


ヒグラシの虫かごを片付けながら
また来ますよ と夏が言ったので
私は わかってますよ と返した

入道雲と夕立も出ていくみたい


いつも 夏は勝手にやってきて
小さい 秋を残して行ってしまう

玄関先の朝顔が萎れている

いつも 笑顔を振り撒いていたのに
小さい 種を残していってしまった

出会いと別れが背中合わせになって


スズムシの虫かごを鞄から出して
おじゃまします と秋が言ったので
私は お帰りなさい と返した


自由詩 夏のさりぎわ Copyright Seia 2011-09-26 14:29:28
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