キリマンジャロの生首
花形新次

登山仲間の間では有名らしい
大雪の日に
どこからともなく
飛んできて
いきなり登山者の肩口に噛み付いて
そのままどこかに連れ去ってしまう
連れ去られた者は決して戻ってくることはない
その名も「キリマンジャロの生首」

大雪の日に滑落して
首がもげて死んだ女がいた
捜索隊が探し出したときには
胴体だけが残されていて
首がなかったという
消えてしまった首が
その正体というわけだ

この話は
少年少女怪奇シリーズに載っていて
小学校に上がる前の僕は
4つ年の離れた兄貴から
毎晩寝るときに読み聞かされたものだ
子守唄代わりに

シアワセな子供だったなあ・・・
おかげで
いまだに明るくしないと眠れないんだ

「キリマンジャロってなんじゃろ」
そんなギャグで返すには
僕はあまりに幼すぎて












自由詩 キリマンジャロの生首 Copyright 花形新次 2011-09-25 20:16:18
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