もも胎児
るるりら

もも胎児
ももたろが うまれるまでの ものがたり は
ももの森の雨の日も もちろん ももの匂い
雨のむこうの冬の そのむこうまで もも胎児は ももの中

さくらの森の雨降りが 桜餅の匂いがするように
もも胎児は もものいのちのにおいがする
もも胎児は もものいのちのままに ゆれている

もも胎児 ももの中心が 桃の仁が ぴりりと痺れる
あれは もも胎児族の木の桃が うまれるあかし
うっかりすると ヒーローは うまれすぎる

そうやって この春 ももたろは たくさん うまれた
うたおう たのしくて
かなしかろう とおのく おっぱい
しおれた 思想も 抱腹絶倒 うまれすぎ


生きているから いつかは死ぬ
いのちに復活はなく 蘇生もなく

それでも
ももたろ は 退治する
ももたろ の 暴力は
あたらしく 
きょうも あたらしく


わらいごえやら 谷間にひびく







自由詩 もも胎児 Copyright るるりら 2011-09-21 16:52:43
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