海底駅
小川 葉



かいていのえきで
でんしゃをまっている

ホームにはだれもいない
ときどきだれかくるけれど
いつもきまって
うえのほうにうかんでいく

このごろは
でんしゃもくるようになった
そのおおくは
かいていにしずんだまま
うごかない
うんてんしをのせたまま

しゃしょうさんがいう
おいそぎですかと

いそいでませんとつげると
そのままどこかに
いなくなってしまった

でんしゃはいつ
しゅっぱつするのだろう
さびつくしゃたいに
さかながすみついていく
わたしのからだにも

なにかあったのだろうか
りくのほうで
いつもとかわらないごご
わたしはでんしゃをまっている

なみのおともきこえない
かいていのえきで



自由詩 海底駅 Copyright 小川 葉 2011-09-17 21:18:32
notebook Home