おちるおちる
榊 慧

数々の産褥の果てに成就した呪いを包みこむように祈る赤い赤い
赤い世界に枯れ葉の落ちる落ちる腐り落ちる
嘆きのキスを吐き出して誰かに抱かれにゆくそれは
埋める埋め続ける腐り落ちる祈りはうずめる
その中で佇みに飽きない
白い肌と白い更紗の区別のつかない
青白い頭にもハート型枯れ葉の嘔吐
お前は心臓を吐瀉する
お前は消化器をまとめて吐瀉する
記憶は記憶をうずめる

だが枯れ葉自体、
それは無い

あおと赤とそれと何色かと
僕きらい。
枯れ葉は、
何色、
知らない世界。
ぼく、ぼく、
知らない。
世界、
知らない。
何色、かと訊ねる、その、そいつ
しねばいいのに
なんてね。俺は何色でもない。
確定事項とか
そんなんだ。
境、
世界、
何色でもいい。


それ自体何ものでもない色
川瀬のさ、
岩とかで堰きとめられて、
水が入り込んで
溜まってしまうやつ
アレの名前はなんていうんだっけ?
名前なんていらないなら
それでいいけれど、
あそこで油や汚物がたまって、
水がギラギラと虹色に輝くそれを
君と名付けたいと思うよ

知らない。知らない。
ヌードの男性像
女性像
愛すべきもの
ありませんから楽ですね。
好き、ビーフ
愛す、べき、もの、
あったらいいね
さようなら。「さようなら」。
さらば、何か。

霧の立った森にお前は削り出される
俺は削り出す、
お前の裸体、それ以上の
木の表面の曼荼羅
の隠されてもいない
秘密めいた
秘密、
ハローグッバイ、
君の手を奪う

さらば、さあ世界、
ぼく、死にたくない。
鵜飼がどよめく夜、消える。
その何かはさらば、世界、そういう、類、
愛されなくてはいけないのですか
さあさらば。さらば。さらば。
僕は君が、(嫌いです)「嫌いです」。


自由詩 おちるおちる Copyright 榊 慧 2011-09-09 22:32:36
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