希望
梅昆布茶

かつて家庭をこわしたおやじは

ほころんだ心の縫い目を
なでさすっては

ときどき
遠い眼をして
なにかを
覗き込んでいた

それは断罪という
自傷行為だったかもしれないし

あるいは彼なりの
レクイエムのかたちなのかもしれない

希望というタイトルのマップは
自らが用意せねばなるまい

雨が降ろうと風が吹こうと
おまえはお前のまま歩き続けねばならない

次なる駅のホームが
見えるまで

そこにおなじ
ことばの温もりを
もった誰かが

駅弁を買って待っててくれて

そしていそいそと
次なる温泉旅行へと
旅立つのだ

遠い眼のままで
ちょっぴり微笑んで


自由詩 希望 Copyright 梅昆布茶 2011-09-09 04:16:44
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