subaru★

君は 青い鳥を追いかけ
僕は 新たなる月を追いかけている
同じ空の下でも
二人が駆け抜けるのは別の道

自然の摂理か

背中を向き合いながら走っていく
振り向く仕草を思い出させる魔法は
溶けて砕けて地殻に滲んで
掘り返されないよう 匠に仕掛けられる

岩盤よりも堅い強情か

初めの夢に帰らぬよう
新しい夢から赤子が醒めぬよう
青い鳥が静かに この空を羽ばたいている
己のために もう鳴かないために

鍵穴は半田付けで 過去は透過できない

蒼天に残る僅かなジェット気流
誰かが落とした青い羽根 微かな温もり
それを震えた体に 一本一本縫い付けて
いつか翔べるように 滑走路を駆け抜ける

向かい風 いっぱい浴びて 空高く舞い上がれると信じて

冷えたアスファルト 裸足で踏みしめ
誰かが歩んだ足跡 微かな温もり
一人にしか見えない 想いの月
それを頼りに 身を焦がす誘導灯たちが ゴールまで照らす

あとから来る者たちへ轍を敷く 道から外れぬために

似たようなアスファルトの上 幾千の別の道
横から流れる空気が知らず知らず
互いが呼吸をするたびに
疎遠の二人の肺に入り込んでくる

知らず知らずに

大空の下 幾億の人生
縦から流れる雨が知らず知らず
互いが冷たいと感じるたびに
駆け抜ける二人の心に沁みていく

知らず知らずに


自由詩Copyright subaru★ 2011-09-07 02:25:34
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