雪ダルマを、押す 
服部 剛

出産後の妻とゆっくり過ごす為 
休みをもらった日の午後 
テレビをつけたら 
決選投票で選ばれた 
次期の首相が熱く語っていた 

「政治というのは、坂道を皆で押す雪ダルマ。 
 あいつがどうだ、こいつがああだと言いあっ
 てては、ふくらむはずの雪ダルマも、坂道を
 転げ落ちてしまいます。         」 

思えば僕もいつのまに 
自分の弱さを棚に上げ 
人の弱さを突っつく奴になっていた 

この休みが明けたら僕も 
たった一つの雪ダルマを 
皆と一緒に押す、ひとりになりたい。 

雪ダルマのふくらむ重みを 
掌にずしりと感じる時、僕は見るだろう 
白い塊に喰い込む、隣人の掌を 






 


自由詩 雪ダルマを、押す  Copyright 服部 剛 2011-09-02 21:28:29
notebook Home 戻る  過去 未来