女のままごと
そよ風

この口説き文句で何人の女を口説いたんだろう。
あいつを最後の女と決めたのに、
結局目の前の女を同じセリフで口説いてしまった。

『本当にかわいいね。なんでいままで気づかなかったのか不思議なんだよね。』

散歩しない?

ベンチに座る。
後ろから抱きしめてキスをする。
キスは好きなんだ。本当にキスはいいね。

どんな女でも始めてのキスはドキドキする。
ナンパをするのは好奇心だ。
あぶない女ほど、惹かれてしまう。
そこに死の匂いがするから。

この女のままごとにいつまで付き合うんだオレは。
このやり取りが何れだけオレの首をしめるのかこいつは知らない。
知らないでこんな事をしているこいつを鈍感なアホだと思っている。
こんな事をされたって応えられるオレの技量も気持ちも覚悟もないんだよ。

ただ首をしめてゆく。
逃げたいこのおんなのままごとから、
会うといつも、つきあってしまうからズルズルとこの生ぬるい居心地の良さに甘えてしまうから
ズルズル。


『もう会わない。』っていえばそれまでだ。
環境も生活も目指す場所も違うのだ。

ただ涙がでてくるのはどうしてだろう。
この哀しみの終着はどこなのか。


自由詩 女のままごと Copyright そよ風 2011-08-30 23:10:24
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