夏至
麦穂の海
サマーウェイスティング
また 夏がめぐる
夏休みは
夏のお休み
ただ それだけ
街灯に蛾がへばりついて火をふいて
落下した
螢みたいに
蛾は脂を燃やして落ちていきながら
熱くなった灯りをまじまじと見つめていた
サマーウェイスティング
また 夏がめぐる
体と外側との境界線が
薄れていく
まとわりつく水滴が
小さな世界を
内包している
青空がTシャツの
向こうに
ひるがえって
遠く遠く
遥か彼方の宇宙が
陽光の奥に透けて見える
闇が照らされると
青くなるらしい
明るい闇は
私たちの胸を
軽やかに
深刻に
打ち抜いて行く
サマーウェイスティング
また夏がめぐる
本当の夏がやってくる前に
夏に至る日
夏至の日の短い夜に
闇を照らす光に近づいた
蛾は燃えて
くるくると落ちていく
サマーウェイスティング
何もなかった夏
夏至の夜に死にかけた蛾は
体に開いた穴に
今日も明るい闇が通っていくのを
じっと見ている
le mercredi 22 june 2011
夏至の日に