ぽたぽた
石畑由紀子
両腕でバランスをとりながら黒鍵を渡る。ちろちろとつま先から炎、揺らめくモディリアニ。白鍵
は床上浸水していて、溶けてしたたるたびにじゅう、って、しずくの結晶なんだ。映る、壁に体と
もうひとつのゆらゆらの影、踏み、鬼だよ、って口実で追いかけて。嗚呼、のぼせている。ちろち
ろと炎のつま先から異国のメロディみたいな。両腕でバランスをとりながら黒鍵の上。溶けてした
たるたびにじゅう、じゅう、って、床上浸水の白鍵を呼ぶ。
自由詩
ぽたぽた
Copyright
石畑由紀子
2004-11-17 21:48:09