カブトムシ
ぎよ
曇天の下
ビルの間を一匹のカブトムシが飛んでいた
その様子はひどく不恰好だ
少年たちの憧れの的であるあの角でさえ
滑稽に見える
ビルの壁に何度も何度も激しく体をぶつけながら
行きつ戻りつ上昇下降を繰り返している
なんともあわれな光景である
僕はそれを見て
あの
女
(
ひと
)
に対する自分の愛のようだと思った
一筋の涙が頬を伝った
自由詩
カブトムシ
Copyright
ぎよ
2011-08-21 07:59:15
縦