ついてない娘
梅昆布茶

以前に営業で地方をまわっていた。
お昼に立ち食いそばでズルズルとやっていた。
あとから若い娘が一人。
食券を買いあつあつのうどんを受け取って食べようとした瞬間
彼女の昼食を床の上に落としてしまった。
器は割れてうどんが散乱した。
彼女は粗そうを詫び
店員は無言で床の上をかたずける。
そして彼女は小さな声でついてないな…。ポツリとつぶやき店を出て行った。
今でもその諦めの表情と響きが甦る。
地方都市の商店の店員といった風情の彼女はその日は昼食にありつけなかったのだろう。
大丈夫。
ささやかで善良な魂には人生はきちんと贈り物を用意しているんだよ。
僕は食べ終わって
その店を出た。


自由詩 ついてない娘 Copyright 梅昆布茶 2011-08-18 11:01:20
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