創書日和「淋」 ありがとう、生きてるよ
逢坂桜
いちばんつらい、いちばんいたい
きみがいたのは、そういう場所
わたしたちにできるのは
もはや最期のひとつだけ
そしてきみは、だいすきなご主人に抱かれて、永遠の眠りについた
お骨になって、帰ってきたね
もうどこにも行かなくていい
家族みんな、ずっと一緒だよ
朝起きると、きみの姿を探した
ぱたぱた歩くと、きみがいるかも、と足を上げた
子供の寝息に、きみの寝息が重なった
忘れないよ、覚えてるよ
ありがとう、何度も思う
きみがいなくて、さみしいけれど、生きてるよ
生きてるよ