隠し事
花キリン
緊張感だよね。止められない理由は。にたりと腹の中で笑って涙を拭いたりしている。役者だねと言われると嬉しくなって、また隠し事をしてしまう。誰からも責められないから罪がないなんて思ってはいないよ。でもね、この緊張感は身震いがして体中に電気が走るとはこのことか。あなたの後ろにいるのにあなたは気がつかない。気がつかない振りをしているだけなのかも知れないが。隠し事も同じだよ。素振りは素振りで、注意を置けばすぐに分かるのだろうが、緊張感が途切れては困るから、お互いに知らん振り。それでいいのだろう。昨日は二つほど隠し事をしたよ。今日はまだ一つなのだが、積み重なったらどうなるのだろう。突然崩れ落ちてきたりして、笑ってしまうよね。いや泣き出すかも知れないね。隠し事にも良し悪しがあるんだって。この傷は外からは見えないから、今日はもう一つ追加してみようかな。駄目だよって止める手もあるのだが、やっぱり緊張感だよね。傷ついた人は手を上げてと言っては見ても、誰にも分からないから、明日も隠し事をしてしまうのだろう。そんなことを考えながら、どこかで終わりにしたいね。隠し事なんかに興味などはないから。お財布の中は、こんな小さな隠し事で一杯になってしまったよ。少し大きなお札に換えようかと思っているのだが、お終い、これが一番かも知れないね。