手毬唄
天野茂典

   



  川中島の合戦で
  上杉謙信は
  無骨ものぞろいの陣内を見て
  外に出た
  陣内に戻ったとき
  彼が手にしていたのは
  一輪の花だった
   彼はやおら
   花をかざった
   陣内の雰囲気が変わったのはいうまでもない


  男のロマンとはこういうものかといまでも
  感動している
  小説家吉川英治のいちばめんなのだが
  明日は死ぬ身の鎧兜に身を包んだ男たちの
  どんな癒しになったことだろう


  

    
               2004・11・17


未詩・独白 手毬唄 Copyright 天野茂典 2004-11-17 01:29:01
notebook Home 戻る  過去 未来