誕生 
服部 剛

幕開け前の誰もいない舞台に 
一つの卵が置かれている 
(あの中に、瞳を閉じた胎児の私がいる) 

ぴしっと殻を破り 
世界に顔を出す瞬間を夢見て 
(胎児の小さい心臓が、高鳴っている) 

もし、大人になった日常が 
色褪せてしまった夢ならば 
いつのまにか、自らを覆っている 
透きとおった卵の殻を破り 
もう一度、世界に向かって顔を出そう 

自らが新たに生まれる時 
風の絵筆は日常の場面を撫でてゆき 
花々がゆっくり開くように 
世界の色はあらわれる 








自由詩 誕生  Copyright 服部 剛 2011-08-11 22:58:41
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