橘あまね

僕の孤独な情念の炎が
語るべきことばの切れ端たちを
のこらず灼いてしまうので
僕の口からこぼれだすのは
いつも色違いの灰ばかり。
灰ばかりです。

両手の手のひらいっぱいに
灰を差し出してみたところで、
誰もわかってくれないのです。
わかってはくれないのです。

僕の口からこぼれだすのは
いつも色違いの灰ばかり。
何が焦がされ赤色になったか
何が焼かれて青色になったか
僕には思い出せないのです
そしてみんなには
色の見わけすらできないのです。

色の違うのに気付いてくれるのは
君だけなので
君のために
色とりどりの灰を感傷の水で固め
団子にしてならべてみても
団子にして転がしてみても

僕の目に映る群青色は
君の目には深緑色に映るようで
君はわかってくれないのです。
やっぱりわかってはくれないのです。

独りぼっちになった部屋で
君のいなくなった部屋で
君の帰ってこない部屋で

独り叫んで狂いまわり、
灰の団子けとばして、
灰の団子ふみつけて、
24色のマーブル模様に散らかした
床のありさまをながめても、
新しくこぼれる灰にむせながら
僕は泣くことさえ出来ないのです。


自由詩Copyright 橘あまね 2011-08-07 08:21:22
notebook Home 戻る