フランスパン
佐倉 潮

工場の若い工員が
長細いフランスパンを
後ろ手に握りしめ
食堂から持ち場へと
小走りで駆けてゆく

グレーハウンドの尻尾のように
揺れているパンの影を見送れば
午後一時を告げる鐘が鳴る
さあまた仕事が始まる


自由詩 フランスパン Copyright 佐倉 潮 2011-07-26 12:54:07
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