郷に住む人
朧月
老人施設とは
終着駅のようなものとおもっていたが
通過駅にすぎなかった
口をあけたままの老女も
うつろにみえる老人も
どこかへゆく途中だ
雄々しく背中をふるわせて
幼児にむける
言葉のようなそれを
発しながら介助をする者は
ジャージとタオルに身を包むけど
防ぎきれず空気に染まる
ぜんぶひっくるめて日々を
刻んでゆくのだろう
いちにち いちにちのカウントは
星と同じ無音でやるのだろう
澄みきった朝
施設の門をくぐる
私は時を共にする
長く生きている人と
自由詩
郷に住む人
Copyright
朧月
2011-07-24 22:33:57
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